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多数決のリスク — ダニング=クルーガー効果から学べるもう一つの視点

※動画はこちら

前回ダニング=クルーガー効果から学べるポイントについて解説いたしました。今回は、別の側面からお役に立てそうなお話をしたいと思います。

ダニング=クルーガー効果について簡単におさらいしますと、ほとんどの人は自身の能力について過大評価する傾向にあり、その領域について知識やスキルの高くない人(習熟度の低い人)ほど実際の能力との乖離が大きく、知識やスキルが高度な人は逆に自身を過小評価する傾向があるということです。下図のように最も左側に位置する初心者グループにおける自己評価▪️と実際◆の乖離が最も大きく、習熟度が増すにつれ(つまり右側のグループに移るにつれ)乖離度合いが小さくなり、最終的には逆転してしまうということです。

さらに一般的に言えることとして、専門性の高い特定の知識・スキルに精通した「専門家」は数の上ではそれほど多くはなく、ほとんどの人が十分な知識・スキルを持たない「一般人」であることが多いと思います(下図参照)。

Graph showing the difference between self-perceived and actual performance

出典: Wikipedia

しかし人数ベースでは

例えば、何か特殊な、或いは専門性の高い領域の事案について評価や意思決定を行おうとする場合、ランダムに選ばれたメンバーで多数決を取ろうとすると、経験・知識の乏しいメンバーの意見が多数を占めることになりかねません。従いまして、民主主義的な多数決はこの場合は機能せず、少数の専門家の判断や意見を重視すべきということになります。しかし、ここで2つの難しい問題があります。1つは対象の事案が複雑であればなおのこと、必要となる専門性を適切に見極めた上で適切な専門家を見出すことが容易でないこと。例えば原因不明の病気・症状が見られた場合、適切な医師を見出すのに苦労するといったことが考えられます。2つ目は、対象メンバーを募る際に、専門性について自己申告に頼ると見かけ上大きな差が出ないため、結局ランダムにメンバーを選定するのと同じような結果になるリスクが考えられるということです。

昨今は特に皆様を取り巻く環境も大きく変化してきていると思います。その中にあって必要となる専門性も流動的になってきているのではないでしょうか?このことを考慮せず、単に多数決で評価したり、従来の観点から専門家を募る、或いは組織上の責任者(典型的には経験豊富だが新しい状況については必ずしも詳しくない)の意見を重視するといったアプローチでは非常に大きなリスクを負うことになるということです。

このような事態を避けるためには、対象の事案の解決方法について客観的な外部の知識を重視することと、対象事案についての知識・スキルを自己申告ではなく客観的に測定できるような指標で評価する、すなわち極力外部の第三者的情報を有効活用するということではないかと思います。いわゆる終身雇用型の企業のように社外の情報を取り入れる機会が少ない場合においては特に、この点に留意すべきではないかと思います。

本日は以上です。この記事が何らかお役に立てれば幸いです。

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