NO IMAGE

マーケティング業務における生成AIの活用状況〜HubSpotさんのプレス・リリースと記者説明会より

関連動画はこちら

去る2025年10月30日にHubSpotさんが発表した「日本のマーケティングに関する意識・実態調査」及び同内容の記者説明会について、ようやくキャッチアップできましたので、私なりの感想を書き留めておこうと思います。

HubSpotさんは米国に本社を置くCRMやマーケティングを中心とした一連のアプリケーションを提供するベンダーさんであり、国内でも古くから知られており、今なお確実に成長していると思います。

今回は日本のマーケティング業務における生成AIの利用度合いに焦点を当てた調査結果が発表されています。詳しくは同社のプレス・リリースをご覧いただきたいのですが、生成AIの成長と普及ぶりはマーケティング業務にも着実に及んでおり、「(マーケティング)業務において生成AIをどの程度利用しているか」、「1年前と比べて、生成AIはマーケティング業務の役に立つようになってきたと思うか」の問いに対してともに前年(2024年)対比で約10ポイントの増加が見られ、今や8割以上の企業におけるマーケティング業務において生成AIが「役に立つ」形で発展していることがわかります。

もちろん、生成AIの普及は購買を行う顧客側にも及んでおり、実際に約7割に及ぶ当該調査の回答者が、「顧客の情報収集や購買に至るまでの行動に変化」を感じており、これは企業規模を問わず、またBtoB企業であれBtoC企業であれ大きな差異が見られません。すなわち、従来のマーケティング手法だけでは顧客行動の変化を把握できなくなっている現状を反映していると考えられ、実際にWebサイト訪問者がサイトを訪問する前にブラウザ(検索エンジン)のAIが回答する情報で必要情報が表示されるため自社サイト(オウンド・メディア)に到達しなくなったといった「ゼロクリック現象」への対応に迫られている現状が例として挙げられました。ところが一方で、そのような「顧客の変化に合わせたマーケティング戦略や施策の見直し・変更を行なっているか?」の問いに対し、「すでに見直し・変更を行い、新たな戦略や施策を実行している」と回答した割合はわずかに24.0%にとどまりました。すなわち、多くの企業が顧客行動の変化を実感しつつも、具体的な対策を打てていない現状が示されている訳です。

そのような現状に対し、HubSpot社ではLoop Marketingを提唱しています。これは「AIの効率性とマーケティングの最大の強みである『人』を掛け合わせた手法」と説明されています。ここに私なりの解釈を加えますと、これはマーケティング業務における人の役割にAIを活用させ効率性を追求するフレームワークと言って良いかと思います。具体的には、01 ブランド・メッセージの表現(Express), 02 オーディエンスに合わせて個別化(Tailor), 03 さまざまなチャネルにわたって増幅(Amplify), 04 リアルタイムで進化(Evolve)という4つの構成ブロックを有機的に循環させることで成果を産み出すアプローチとなっています。すなわち、発展・普及が進むAIの活用に人間の要素を掛け合わせるというプロセスを、言わば機械任せに暗黙的に進めるのではなく、明示的に体系化させるということではないかと思います。中でも、最初のブランド・メッセージの表現(Express)の部分をAIを活用しながら明確に言語化していくことが出発点であり、曖昧さを排除するという意味では最もクリティカルなパートではないかと思います。

では具体的にマーケティング業務のどの部分で成果が出たと感じられているのでしょうか?これは記者説明会で紹介されていましたが、主に、「アイディア出し」、「データ分析」、「レポート作成」、「プレゼン資料作成」、「Eメール文作成」、「イメージ画像作成」などが挙げられておりました。これらはいずれも従来の人的業務では多大な時間・労力を要していたものであり、高度化した生成AIによって実際に飛躍的に効果が高まったということではないかと思います。しかしながら、AIによって生成されたこれらの成果物が適切なものなのか否かを判断するのは当該業務に精通した人間による判断が必要となるため、改めて上記の表現(Express)の部分の重要さがわかるかと思います。逆に言うと、表現(Express)の部分が齟齬なく明確に示されたならば、以降のプロセスはブレることなくスムーズに流れていくのではないかということです。この点は私が提示する第二のナゾ(付加価値創造のナゾ)に直接関わってくるものと思われますので、大いに注目致したく思います。

どのような生成AIツールが利用されているかという問いに対しては、ChatGPT, Copilot, Geminiなどに回答が集まり、中でもCopilotとGeminiの利用が対前年比で大きく伸長しています。さらにこれら複数ツールが同時に利用されるようになっており、しかも有料版の利用が進んでいることからすると、生成AIの利用は平面的に波及するだけでなく、立体的に深みを増して発展的に普及している状況が明らかに示されました。しかしながら、有料版の利用割合は増加傾向ではあるものの、未だ約半数に留まっています。今後は、自社固有データのさらなる活用、そのための生成AIに対するさらなる投資が加速するのではないかと私は予想いたします。

以上、HubSpotさんのお取り組みのご紹介でした。同社の今後の活動に引き続き注目致したく思います。本記事に関してご意見やご質問などございましたらお気軽にお問い合わせいただければと思います。

この記事は参考になりましたか?
はいいいえ