- そもそも、ITや資本主義に基づくビジネスそのものが西洋、特に英米に端を発するものであり、英語が原語となっていることが多い。
- 新たに登場した外来語のうち、日本語に相当するものがあればそれを訳語に充てるが、そうでない場合には造語を新たに発明するか原語に近い発音をカタカナで表現することになる。
- 当初はそのようなカタカナ語に不慣れであっても時間と共に普及・浸透すれば慣れ親しんでいくものと思われるため、あえて造語を発明する必要もないという場合も多い。
例えば、processやmanageなどは、単に「処理(あるいは加工)」や「管理」などと訳すことで大体において意味の整合性が取れると思います。適切な訳語がなく造語が発明された例としては、「経済」や「電話」などがあるでしょうか。しかし、「テレビ」や「コンピューター」などのように無理に日本語にしなくてもカタカナで広く受け入れられているものもあります。「テレビ」にしても「コンピューター」にしても、それまでには存在しなかった新たなモノであり、おそらく当初は、「何それ?」といった反応が見られたものの、普及・浸透していくうちにカタカナのまま定着したものと思われます。
- 従事[没頭]していること
- 婚約、結婚の約束
- 〔義務となる〕言質、誓約
- 〔会合などへの出席の〕約束、予定
- 〔短期間の〕雇用、仕事(の契約)
- 《軍事》戦闘、交戦
- 〔歯車などが〕かみ合っていること
- 順調に進行[動作]していること
- 〔活動などへの積極的な〕関与
本当にさまざまな意味が記載されていますが、「2つの物や人の間でお互い深く関係し合う」という部分が意味として共通しているように思えます。ですので、「顧客エンゲージメント」という場合、「企業と顧客の間の関係が密でお互いに働きかけあっている状態」、「従業員エンゲージメント」は「企業とそこで働く従業員との関係が密でお互いに働きかけあっている状態」と表現すれば無難に説明できると思います。この場合の「密でお互いに働きかけあっている状態」とは通常、意見対立やクレームといったネガティブなものではなく、好意的なものを指すことが多いのです。そしてこれらの「エンゲージメント」はそのレベルが高いほど、ビジネスに好影響をもたらすと考えられています。つまり、「顧客エンゲージメント」のレベルが高いと顧客のロイヤリティが高まり、リピート受注や離反防止につながり、「従業員エンゲージメント」のレベルが高いと従業員の業務生産性が高まり、離職リスクも低下するということです。要するに、そのようなエンゲージメント強化がビジネスに良い結果をもたらすということですので、企業が高い優先度で取り組むべきは顧客及び従業員に対してエンゲージメントのレベルを高める施策ということになる訳です。
この説明だけだと、「そんな当たり前のことを?」と疑問に感じる方もおられることでしょう。しかし一方で、「そうなんだけどさぁ〜」といった感じで、わかっているがなかなか着手できない、関心が持てないという方も少なくないような気がします。要するに、当たり前のことなのに、なぜできない?やらない?という疑問に答える必要があるということです。
ということで、私なりにその疑問に答えて参ります。まず、顧客との関係にしろ、従業員の労働形態にしろ、形骸化してしまっているということが考えられます。これはビジネス環境の変化に対応しきれていない場合に頻発するように思えます。そのような場合「本来の姿」、つまりエンゲージメント向上の努力を忘れがちになるということです。次に、テクノロジーの進化により、それまで可視化できていなかったものが可視化され、それまで良好と信じられていた「エンゲージメント」が実は適切ではなかったことが判明したというケースもあるということです。つまり、業績の向上や回復を目指す企業においては特に、まず見直すべきは、顧客や従業員とのエンゲージメントのレベルを確認し、定期的にその状況をチェックするということです。
しかし、大きな問題も残ります。それはエンゲージメント・レベルをどのように測定すればビジネスの成果として示すことができるかという点です。多くの場合、エンゲージメント・レベルは企業の最終的な損益に直接的には結びつかないため、エンゲージメント向上の取り組みに懐疑的になる人も出てくる訳です。つまり、エンゲージメント・レベルと最終損益の因果関係や相関関係を示すことができれば、エンゲージメント・レベル向上の取り組みが正当化され本格化し、ビジネスの成長に寄与することになるということです。
従いまして、エンゲージメント・レベル測定の基となるデータの収集に関心が集まることになります。そのようなデータには顧客との取引、従業員の業務実績の他、各種の行動データやアンケートなど様々な種類がございます。これらをできるだけ細かいレベルで収集し、実際の業績との対比を人工知能に学習させる方法が現時点では最も有力なアプローチではないかと思われます。そのようなテクノロジは今後もますます発展していくと期待されますが、同時にそのような基となるデータを継続的に地道に蓄積していくことも肝要な取り組みになります。
これからも、定期的にナゾ解明のキーワードとなるようなカタカナ語の解説記事を投稿しようと思います。説明の必要なカタカナ語があるという方は、ぜひコメント欄にお寄せください。