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CX(カスタマー・エクスペリエンス;顧客体験)の成功とは?

よく聞かれる質問の一つに、「CX(カスタマー・エクスペリエンス;顧客体験、以降単に”CX”)ってどうやったら成功するのですか?」というのがあります。

もちろん、この領域に専門的に取り組んで来た私には明確な答えがあります。しかし、これを端的に説明するのが非常に難しいと感じているのも事実です。何故かと言いますと、

  1.  質問者の期待レベルがどのあたりにあるのか話を詳しく伺わないと何とも言えない。
  2.  質問者の属する業界や取り組んでいる特定の業務や商材によっても答え方が異なる。
  3.  質問者が認識している課題のみにしか関心を示さない。

など、さまざまな理由がございます。

別の言い方をしますと、CXとは何かについて質問者が認識しているものが必ずしも私が把握しているさまざまなタイプのCXとは異なるかもしれないということです。つまり、ビジネスのさまざまな場面にCXの要素が散りばめられており、それらのうちどの部分を改善させたいのか、成功させたいと考えているのか、聞いてみなければわからないということです。

そもそもCXとは、ビジネス成長の根幹をなす要素です。あらゆるCXの取り組みがビジネスの成功に結びつかなければ成功するCXとは呼べません。ましてや「CXのゴールは?」という問いは「ビジネスのゴールは?」とほぼ同じ意味になるので、ビジネスの継続的な成長を目指す限り、CXにはゴールがある、これこれの課題さえ解決できればCX改善・向上の取り組みは終了するなどと考えない方が良いでしょう。

ということで、この問いに正確に答えるには限りなく時間がかかってしまいますので、本稿ではひとまず、なるべく多くの方に共通する最初の出発点ともいうべき回答を簡単に示しておきたいと思います。

それは、「『自社の考えや取り組みが顧客中心になっているか?』を自問してください。」ということになります。「我が社の取り組みはとっくに顧客中心になっているよ!」と回答された方、特に要注意です。何故なら、商業的なビジネスを行うのであれば、100%顧客中心はあり得ないからです。つまり、顧客中心への転換には終わりがないということでもあります。あるいは、自分たちでは顧客中心のつもりでいても、客観的に見ると顧客の立場に立っていないという場合はなおさらです。ですので、この問いは、「どの部分がどの程度顧客中心になっていて、どの部分がそうでないかを洗い出してください。」とした方が良いかもしれません。

ところで「成功」の対義語は「失敗」でしょうか?

もしそうであれば、「CXの失敗とは?」という観点からもお話しないと最終的な答えにならないような気がしますので、この観点からは次稿でお話いたします。

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