第三のナゾ) 日本企業とグローバル・ビジネスとの関わり方について

私はいわゆるバブル期に国内系企業でキャリアを開始し、その後は約4半世紀に渡り外資系企業に勤め、日本的なビジネス慣行との違いを実際に経験してきました。もちろん、国が違えば法律や文化も違うわけで、外資系企業のやり方と違うという理由だけで日本企業の伝統的な仕事の仕方に問題があると言いたい訳ではありません。しかし、ビジネス自体が時を追うごとにテクノロジの進展と共にグローバル化しており、その勢いは米国を中心としたものになってきていることに異論はないと思います。つまり、日本企業によるビジネスのグローバル化と米国を代表とするグローバル企業による日本市場への進出を対比するならば、後者の勢いが非常に大きくなって来ていると言って良いかと思います。

ここで私が提起する第三のナゾとは、そのような状況下において、日本型企業によるグローバル市場に対する視点と、グローバル企業による日本市場に対する視点が全くもって噛み合わず、それが多大な機会損失を生み出している(結果的に日本国民が適正な富を享受できていない)ように思えるが、それは何に起因するのか、ということです。私はこれまでの20年近くに及ぶリサーチ活動の中で、数多くの日本企業の皆様と、日本市場への進出や拡大を企図する外資系テクノロジー・プロバイダーの皆様と対話して参りましたが、正にこのギャップを説明するのに苦労しました。詳細は今後のトピックとして取り上げて参りますが、端的に言うと、日本企業の方々は自社のビジネスが国内で完結している場合には特に、グローバルな動きに十分な関心を示さず、国内(だけ)で完結する考え方や慣行に基づく業務を継続する傾向が強いのに対し、日本市場に進出・拡大しようとする外資系企業は、日本でのビジネスから得られる機会(収益性)を体系的に経営的な視点から分析した上で取り組んでいます。こういった視点の違いから、例えば業務改善のために導入した海外製パッケージ製品が「自社の業務に合わない」となり、多大な損失を招いてしまうといった現象が多数生まれているように思います。

おそらく、ですが皆様の多くはこのギャップに気づいていることでしょう。ただし、それは日本国内からグローバルを見ると言う一方向的な視点に留まってはいないでしょうか?例えば毎年発表されるIMDの調査では、日本のビジネスは国際競争力が低い、管理職が国際経験に乏しい、効率性が悪いなどと指摘され、その傾向は悪化しているように思えます(記事の例:https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000354933.html )。

日本企業においても、ビジネスの成長を中長期的に捉えるならば、おそらくほとんど全ての場合において、グローバルなトレンドを視野に入れ、業務改善に取り組んだ方が賢明に思えます。中にはグローバル化に取り組み成長を実現している企業の方もいらっしゃるかとは思いますが、全体的な数の観点では、まだまだ不十分でグローバル化に取り残されている企業が多く残されているように私には見えます。

このカテゴリーでは、このような日本国内の視点と、海外から日本を見る視点の違いが産み出すギャップについてのナゾを究明していきたいと思います。おそらく皆様の多くは日本国内の視点で業務に取り組まれていると思いますが、海外から日本を見て、なんで日本ってこうなんだろう?といったご質問にもお答えしていきたいと思います。その目的はもちろん、日本全体のビジネスの発展に貢献するためです。このカテゴリーにおきましても、様々なご質問やご意見、ご要望などをコメント欄あるいはお問い合わせフォームからお寄せいただければと思います。

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