付加価値創造という少し大袈裟な表現をしていますが、要は皆様のビジネスの成長度合いを測る指標としての経済的付加価値のことを指しています。端的には新規に発生した売上や利益のことですが、別の言い方をしますと生産性とか、もっとマクロに捉えるとGDPの要素ということになるかと思います。
ここで提起する第二のナゾとは、皆様が取り組む業務の1つ1つが付加価値を産み出す最終的なアウトプットにどのように結びついているか、その関係がナゾに包まれているように見えるということです。
もしかしたら最終的な成果を伴わない業務に一所懸命に取り組んではいないか?あるいは逆に、多大なアウトプットをもたらす業務が軽視されたまま放置されてはいないかということです。
このことを示す手段として、私はよくマイケル・ポーターさんのバリュー・チェーンのチャートを使って説明しています。要は皆様が企業内で何らかの業務に取り組んでいるのであれば、それは何らかの形で最終的に顧客へ提供する価値として、その対価がマージンとなって自社に返ってくるはずだけれども、その関係性が見えにくい状況になっているのではないかということです。私はこれまで、「顧客」に関わる部分のプロセスや戦略、テクノロジーなどを専門的に調査して参りました。総じて感じるのは、顧客へ価値を提供するのは営業やカスタマー・サービスなどの顧客接点部門の仕事とみなされ、いわゆるバックオフィス部門の方々の関心が薄いという点です。しかし、バリュー・チェーンが示す通り、各業務は顧客へ価値を提供するところまで何らかの形で繋がっているはずです。
このナゾの解明には、以下のような克服すべき課題があると思います。
- いわゆる縦割り型組織の弊害、あるいはサイロ化現象・・・各業務は企業全体として繋がっているはずだけれども、他部門の業務内容をよく知らないがために非効率を産み出している、など。これはビジネス自体あるいは業務や組織構造の複雑化とともに可視性が損なわれる傾向にあると思います。業務の属人化あるいはブラック・ボックス化といった現象もここに含まれると言って良いかと思います。
- 「価値」に対する認識のズレ・・・「価値」とは本来、それを享受する立場や状況によってその内容が異なるものですが、ビジネスにおいて「価値」という場合、それは当然ながらバリュー・チェーンの図で言うマージン即ちビジネス成果をもたらすものとなるはずです。よって、顧客へ価値を提供する立場の企業内で統一した価値観を持つべきですが、部門により、立場により、あるいは商材の違いによって統一した価値観が損なわれる状況を私は至る所で目にしています。
昨今のデジタル・テクノロジーの目覚ましい普及により、各業務内容が可視化あるいは定量化することができるようになりました。しかしそれでもなお、「デジタル・トランスフォーメーション」がうまく進んでいないのです。この点も克服すべき大きな課題と言って良いと思います。
これらの疑問に対して「その答えは簡単だよ」と明確に回答をお持ちで、実際にビジネスの改善を実現されている方もいらっしゃるかもしれません。もしそうであれば、ぜひお取り組みや成果についてお話をお聞かせ頂きたく思います。しかし、実際問題そうはならず業務改革を通じたビジネス成長に課題を感じている方々の方が多いのではないでしょうか?
このカテゴリーでは、以上のような付加価値あるいはそれを産み出すプロセスについての様々なナゾを究明していきたいと思います。皆様の中には我が社の場合はこうなっているがこれが問題ではないのか?もしもこういったプロセス改革に取り組むとどうなるのか?そういった疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。そのような場合には、コメント欄あるいはお問い合わせフォームからご質問や感想をお寄せいただければと思います。