ただいま、YouTubeにて、リーゼント・マネージャー岡田兵吾さんとの対談セッションを公開中でございます。ここでは、主に第一のナゾについて、対談要旨をご紹介したいと思います。
第一のナゾ、すなわち社内におけるIT部門のプレゼンスの低さにつきまして、彼が真っ先に指摘したのが、日本のIT部門がコストセンターとしてしか見なされていないという点でした。これに対して営業部門は利益を直接もたらすために脚光を浴びる傾向があるということなんですけれども、昨今のテクノロジーの発展を考えると、果たしてその従来的な考え方、すなわち現行業務の改善という目的のみでITを活用する方向性だけで良いのか?という疑問を呈しておられました。営業部門が指示する形でシステムを構築するという姿勢では、経営層や第3者から見た場合にIT部門の成果に対する感謝が体感として発生し得ないと表現されておりました。
また、これはIT部門に限った話ではないと思いますが、日本のビジネスの姿勢として、節約・貯金型であると表現されていました。これに対して欧米的なアプローチはイノベーションを模索する際に投資あるいは借金を厭わない姿勢があるという点も指摘されておりました。1から10までを全てコツコツとこなす姿勢は評価されず、ビジネスへの影響力・インパクトを踏まえたプライオリティを重視する姿勢が必要だということです。これは私も全く同感でして、日本の企業は総じてこの優先順位づけが上手くないと感じます。優先順位づけあるいはプライオリティづけというのは、言い方を変えると優先度の高くないものを特定して切り捨てるということですが、日本の企業の皆さんは、全てを丁寧にこなそうとするあまり、何をどういう基準で切り捨てる必要があるかについて、重視・考慮しない傾向があると思います。
そのような姿勢あるいは風潮を生み出す背景には、日本企業の縦社会構造があると言及されました。これは社長を頂点としたヒエラルキーというよりも、営業が上位で情シスやバックエンド部門が下に置かれている点についてでしたが、これには「納得が行かない」とおっしゃっておりました。従来の、「モノづくり」+「営業」でビジネスが成り立っているという考え方に立脚していると考えられる訳ですが、現在はそうではなく、いわゆるバリューチェーンを形成するバックエンドの事務の方々やサプライチェーン部門その他オペレーション全体にわたって対等の立場でなければならないという点を指摘しておられました。後でも触れますが、ここには日本企業の伝統的な年功序列や終身雇用の考え方が大きく影響していると考えられます。
IT部門のメンバーのキャリア・パスについてどう考えるかを聞いてみたところ、グローバルにビジネスを展開するマイクロソフト社では担当リージョンの拡大や担当領域の拡張といった例があり、しっかりしたパターンがあると話しておられました。それに対して国内の状況ですが、日本人の幸福度の低さを危惧しており、それには社内のキャリアについて自分で決められない事情を指摘されました。すなわち、自分で自分のキャリアを決めきれないから、自分の職務にプライドを持っていきいきと働くことができない、つまりエンゲージメントが非常に低い、先進国中最低のレベルであると説明されました。そのようにエンゲージメントが低い状態でも、簡単に転職しないというのが日本の労働者の特性だと私も感じるところではありますが、これは組織としての健全性を損ねるという指摘もされました。その原因として、年功序列的な上下関係や、閉鎖的な組織構造が生み出す学ぶ機会の少なさを挙げておられました。
とはいえ、日本の明るい材料として、昨今のDX推進の役割・重要性の向上やそういったリーダーシップがロールモデルになっていくのではないかという点を挙げておられました。私個人の見方になりますが、いわゆるデジタル・トランスフォーメーションに取り組んでいる企業は多いものの、上手く行っていると考える企業が非常に少ないのも事実です。しかし、中にはこれから本格的に成果を出してくる企業も一定数現れるだろうと私は予測します。その影には、岡田さんが指摘されたロールモデルとなるようなDXリーダーの貢献があると思います。ただ一方で、DX推進が機能しない、リーダーシップやガバナンスが不十分といった企業の方が大多数ではないかと私は危惧しております。そのような前提で日本の将来を見据えた場合、テクノロジーを活用して成長できる、その背景には従来の縦社会から脱却して変革を遂げた企業と、そうではなく、遅れをとったままの企業に大きく別れる、すなわちディバイド(divide)と呼ばれるような現象が起きるのではないかと私は予測します。正にここに該当するとお感じの読者の皆様におかれましては特に、ぜひとも私の今後の活動に着目し、ご支援いただきたいと思っております。それは一重に皆様の発展に尽くしたいと考えているからであります。
リーゼント・マネージャー、岡田兵吾さんとの対談はまだまだ続きます。ぜひ続きにご期待ください。